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【小話】げんていこうかい。3

明日からお月見だから(いろいろな語弊あり)、
今のうちに書いて投下しておく(`・ω・´)


前回前々回と同じシリーズです。
だらだらっと、おひるごはん風景。


折り返しー。

-------------------------------------

 四人で昼食を食べるようになったのは、いつからだっただろうか。
 月詠布留部(つくよみふるべ)は記憶の糸を辿る。
 暑くはなかった。寒くもなかった。たしか……たしか、夏より前だった気がする。もう一年ほども前だ。
『ふーちゃん、いっしょにごはんたべよー!』
 そう、紫が誘ってきて、霧依と葵が居る中庭に連れていかれて。
 いつしか四人での昼食が習慣になっていた。
 なので、
「月詠っていつもコンビニの食べ物よね」
 いつも何を食べているのか、筒抜けである。

「栄養価偏るわよ?」
 葵に意地悪く笑われて、むっとする。
「松毬こそ購買ばっかだろ」
 葵が食べているのは購買のおにぎりだ。昨日はサンドイッチ。一昨日は、メロンパン。その前は弁当を持ってきていたけれど、珍しいと感じるくらい久しぶりだった。
 反論に対して、葵は
「あたし晩御飯きちんと食べてるもの。アンタはヤバそう、一人暮らしでしょ?」
 しれっと言い返し、おにぎりを頬張る。今日はツナマヨだ。
「ヤバそうって、んなこと……」
 否定しかけて、特に否定する材料がなかったことにはたと気付く。
 ここ数日、もしかしたら数週間、あるいは数カ月。
「……しばらく手料理食った記憶ねーわ」
 言葉に、葵は呆れたような目をして、
「コンビニばっか?」
 問う。瞳に、微妙な哀れみの色が浮かんでいるのがなんだかムカつく。
「あとたまに外食」
「よく太らないわねー、……キモっ」
「てめっこの。体質なんだからしゃーねーだろが!」
 いやーキモい女の敵ー、とぶーたれる葵を睨みながら(ぶーたれている葵は実にスタイルがよくて、むしろそのスタイルこそ敵ではないのか同性の、と布留部は強く思う)、コンビニおにぎり(奇しくもツナマヨ)に齧りつく。
「んー」
 それまで静観を決め込んでいた弁当派の霧依が声を上げた。唸るような、不満を含んでいるような、そんな声音。
 何、と布留部が目線をやると、かぼちゃを掴んだ箸が伸びて、
「ハイ、あーん」
「アホか。同性同士でンなことしたくねーよ」
「カボチャには栄養素がネ?」
「いーから」
 拒否すると、箸を引っ込めた。オイシイのに、との呟きが霧依から漏れる。
 美味しそうなのはわかっていた。調理後時間が経てど綺麗な色艶、匂い。食べたいとも思わないわけではない。
 が、何が悲しくて野郎と同じ箸で、しかもあーんで食べなければならないのか。ここは中庭で校舎からも丸見えな、広く披けた場所だ。
「お前は少し人目ってものをだな」
「ハーイ。あ、つっきー、コレもコレも。おれのお弁当、今日も自信作だヨ?」
「あとな、人の話を聞け人の話を」
 再度向けて来た箸を突っぱね、おにぎりを食べきった。両手を合わせてご馳走様と小さく言って。これで強制終了だ。
 紙パック入りのコーヒーをストローで飲みながら、空を見上げる。今日も晴れ、いい天気だ。
「イイ天気だよネ」
 同じ事を考えたらしい霧依が呟く。葵も空を見て「あ、本当。雲ないし」ちょっと驚いたような、嬉しそうな声を上げた。
「こうイイ天気だと、午後の授業サボって昼寝とかサ。したくなるよネ」
「あー。いいなそういうの」
「ネ」
「あんたらさ。そういう話はクラス委員で風紀委員のあたしが居ないところでやってよ」
 葵の眉間には皺。
「真面目だなお前」
「まあね。進学クラスの月詠に言われたくないけどね」
「俺は社会の歯車になるための下積みだから。真面目とは違ぇよ」
 言い切ると「けっ、嫌味」とそっぽを向かれた。
 嫌味ってわけじゃねーよ、と言い返そうとも思ったけれど面倒だから止めて、「紫おせーな」呟く。
 飲み物忘れた! と言って、中等部の教室まで取りに戻った紫が居なくなってから既に十五分。ここから中等部まで(そして紫の教室まで)それなりに距離があるとはいえ、陸上部エースの彼女が走って取りに行き、走って戻ってくるのにそこまで時間をかけるとは思えない。
「霧依心配じゃねーの?」
 シスコンととられるほどに妹想いな霧依が心配しないとは思えず問うと、
「ン。調理実習で焼いたクッキーが焼けたから、クラスメートと分け合ってから来るってサ」
 ケータイの画面を見ながら、霧依が言った。
「噂をすれば、ね」
 葵が後方を見て、言う。つられてそっちを見ると、ぶんぶんと手を振りながら紫が走って来ていた。
 手に持っているのは、小さな袋。飲み物が入っているような感じはしない。
「おかえり、肝心の飲み物忘れてるけど」
 葵がそう言って笑うと、
「うぁ! ……うー、もういーやっ!」
 紫がうなだれた。葵の隣に座って、「ぼくのばかー」とうんうん唸る。
「あたしのお茶でよければあげよっか?」
「わ! ありがとあおいちゃんだいすき!」
 そして、紫の頭を撫でながら、葵。
 姉妹のような仲の良さだな、と思って見ていると、「何羨ましいの?」と言われて「アホか」と一蹴。別に羨ましくはない、微笑ましくはあれど。
 葵のお茶を飲み干して、「これこれ! ふーちゃんクッキーあげるー!」紫がずいっと個別包装された透明な袋を出した。
「……え」
「ちょーりじっしゅーでねー」
「いや、それは霧依に聞いた」
 そうではなくて、
「この真っ黒いブツがクッキーだとは信じられなくてな? 炭の間違いじゃなくて?」
「ひどいよー!」
 ひどいのはこの自称クッキーの外観のほうだと思うのだ。
 炭のように黒々としていて、ぱさぱさしてそうだし堅そうだしで、いやこれをクッキーと名乗らせるのはおかしいおこがましいと。
 思って言ったら、がつっと葵に首根っこ掴まれ引っ張れ「オイこら離せ苦しいばかやめろ」「黙れ引きずられてなさい」紫と霧依から離された。
「んだよ!」
「ほら久し振りの手料理じゃない、食べなさいよ」
 それから、天使のようににっこりと。
 その天使の裏に何が隠れているかなんて、知ってるぞ。
「いやでも真っ黒で炭だろあれ」
「紫に恥かかせようっての?」
「ンなつもりじゃねーけど」
「じゃあ食べなさいよ」
 鬼だ、鬼。今こうして布留部を睨む葵の顔は、数十秒前の天使とは正反対だ。
 そう思っていたら「紫ー、月詠食べるってー」告知された。ふざけろ、無理だろ! と生存本能に素直な声を上げようとしたのだけれど。
「ほんと!?」
 紫があまりにも嬉しそうにキラキラとした瞳で聞いてくるから。
「……おー」
 頷くしかなかった。


 余談だが。
 紫お手製自称クッキーは、食後頭痛腹痛胃痛を起こし、食欲を減退させるといった効果を発揮。
 午後の授業は勿論、翌日の一時間目が終わるまでの長い間気分が優れず、なかなかの兵器っぷりに末恐ろしくなった布留部であった。










◆補足というか、自分メモというか、らくがきというか。
霧依と紫:霧依お手製弁当
葵:購買とかコンビニ、たまーにおかーさんのお弁当
布留部:コンビニ飯
御幸:購買
清十郎:母親作弁当+購買
ハル:クリーム玄米ブランとかソイジョイとかそういう甘いやつ「栄養補助食品ですし、大丈夫です(キリッ」
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灰島懐音

Author:灰島懐音
辺境の地へようこそ! 今日から貴方も変わり者ですネ!

自己紹介をさせていただきますと。
蒼空のフロンティア(http://souku.jp/)でゲームマスターというライター業を務めております、灰島懐音です。
ただの馬鹿アホ変態です。残念な子。

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連絡先:ruri_kohaku_211★yahoo.co.jp
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